流れる桃たちを前に、スマホでJAの電話番号を探す。
ふとスマホから顔を上げると、一つだけ他の桃とは違う見た目の桃が流れてくる。
皺くちゃな桃⋯いや、違う!
あれはシワじゃなくて血管だ!!
なんとその桃は、隆起した無数の血管に覆われていたのだ!
血管は、ドクンドクンと脈打っていた。
じさまはその光景に目を見張った。
「なんなんだ、アレは!!」
かつて七つの海を渡る冒険家でもあったじさまは、あの頃の興奮が、情熱が蘇っていくのを全身で感じていた。
そっと、そっとその桃の方向に歩き出した。
桃の血管の脈打つ速度が速まった。
まるでじさまに気づいてもらえるのを待っていたかのように。