激しく脈打つ桃に触れようとしたその瞬間、じさまは思い出した。
忘れもしない。
この波動は…ヤツだ。
七つの海を冒険していた若かりし頃のじさま
が、唯一恐怖を感じた相手。
その名はネオ・桃太郎
「こんなところで再会するとはな…」
今の衰えた自分に、ヤツの相手ができるだろうか。
震える手をなんとか制し、スマホでばさまに電話をかける。
「なぁに?じさま〜☆」
「ばさま!ヤツが!ヤツがあらわ……ブツッ」
じさまのスマホは、いつの間にか桃から生まれたネオ・桃太郎の手に握られていた。
鮮明に蘇るかつての恐怖。
今朝見たテレビの占いが頭をよぎる。
「今日のラッキーアイテムは桃!人生史上最高の1日になりそうです☆」