ネオ・桃太郎

ネオ・桃太郎 ~第3話~ 作者:つぐみ

流れる桃たちを前に、スマホでJAの電話番号を探す。

ふとスマホから顔を上げると、一つだけ他の桃とは違う見た目の桃が流れてくる。

皺くちゃな桃⋯いや、違う!
あれはシワじゃなくて血管だ!!

なんとその桃は、隆起した無数の血管に覆われていたのだ!
血管は、ドクンドクンと脈打っていた。

じさまはその光景に目を見張った。
「なんなんだ、アレは!!」

かつて七つの海を渡る冒険家でもあったじさまは、あの頃の興奮が、情熱が蘇っていくのを全身で感じていた。

そっと、そっとその桃の方向に歩き出した。

桃の血管の脈打つ速度が速まった。

まるでじさまに気づいてもらえるのを待っていたかのように。

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