思い当たることは多々あった。
旅に出たきっかけも仲間たちとの出会いにも必然性がない。
なにより鬼に対して攻撃的な気持ちになることがあるのだ。
ライバルとして共に成長する同志として鬼に対する尊敬と親愛は本物なのに相反する衝動が湧くことに何度も困惑した。
ー運命に逆らうな
今の不自由な体は運命に逆らっている罰?
それではまるで皆が誰かの物語の登場人物のようではないか。
鬼が鬼一族の長の運命ならば、自分にはどんな運命が?
仲間と旅立った自分の本当の目的が?
例の占い師はその物語を知っているとでもいうのか。
自分は何者なのかーー
いや冗談じゃない。
誰かの筋書きで踊らされてたまるか。
自分は自分の運命と対峙する。